再婚をきっかけに家族構成が変わると、見直すべき項目の一つが「保険」です。
特に、学資保険・生命保険・医療保険は“前婚時のまま”にしておくと、思わぬトラブルの原因になります。
この記事では、ステップファミリー特有の保険の落とし穴と、再婚後にやるべき「保険リセット」のポイントを解説します。
再婚家庭で起きやすい保険トラブル

受取人が前配偶者のままになっている
最も多いのが、「生命保険の受取人が前の配偶者のまま」というケース。
契約上は本人の意思で決めた内容が優先されるため、再婚後でも自動では変更されません。
要注意ポイント
- 名義人・受取人・被保険者の3つが一致しているか
- 離婚時に“解約せず”継続していないか
- 養子縁組していない子どもが受取人になっていないか
保険会社によっては、戸籍上の家族構成が変わるときに自動で通知されないこともあるため、自分で確認する必要があります。
学資保険は「契約者と受取人」を要チェック

養子縁組していない子どもの場合
学資保険は、契約者(親)・被保険者(子)・受取人の3つの関係で成り立ちます。
再婚後、連れ子がいる場合にはこの構造を慎重に見直す必要があります。
例:前婚の学資保険を継続している場合
- 契約者:前の配偶者
- 被保険者:子ども(前婚の子)
- 受取人:前の配偶者 or 実親
この場合、再婚相手が教育費を支援しても、受け取り権限がないことになります。
養子縁組の有無によっても扱いが変わるため、保険会社に相談して契約内容を再確認しましょう。
生命保険の「受取人」を再設定する
受取人の選び方で“想定外の相続”を防ぐ
再婚後、生命保険の受取人を誰にするかは慎重に考える必要があります。
受取人の設定次第で、相続時のトラブルを防ぐことができます。
| ケース | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 配偶者が家計の中心 | 配偶者 | 生活資金の確保 |
| 子どもを守りたい | 配偶者+子ども連名 | バランスよく分配 |
| 養子縁組していない子がいる | 配偶者中心に設定 | 保険金トラブル防止 |
保険金は“相続財産”とは別扱いですが、受取人設定が前婚時のままだと、新しい家族に支払われない可能性もあります。
医療保険・がん保険も家族単位で見直す

二重契約を防ぎ、負担を減らす
再婚家庭では、夫婦双方が別々の保険に加入しているケースが多く、同じ保障が重複していることがあります。
チェックポイント
- 家族全体で「医療費の自己負担」を把握しているか
- 子どもが加入している保険の内容を共有しているか
- 妻・夫それぞれの医療保険がダブっていないか
保障内容を一覧にして、不要な重複を減らすだけで年間数万円の節約につながります。
また、「共通口座」から保険料を引き落とすと管理がスムーズです(関連記事:『再婚家庭の家計簿ルール:共通財布と個人財布のバランス』)。
再婚家庭でおすすめの保険見直しステップ
1. 現在の契約内容をすべて洗い出す
まずは夫婦それぞれの契約書を確認し、次の表にまとめましょう。
| 保険の種類 | 契約者 | 被保険者 | 受取人 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 生命保険 | 夫 | 夫 | 妻 | 再婚後に変更済み |
| 学資保険 | 妻 | 子(前婚) | 妻 | 継続中、満期5年後 |
| 医療保険 | 夫 | 夫 | 妻 | 保障重複あり |
紙で一覧化することで、「誰のために入っているのか」が明確になります。
2. 養子縁組の有無で見直す
養子縁組をしている場合とそうでない場合では、受取人や税金の扱いが変わることがあります。
特に学資保険は、養子縁組していない子を対象にする場合、契約者を実親のままにするのが安全です。
関連記事:『扶養・手当・控除を賢く使う!ステップファミリーの税金講座』
3. 新しい家族構成で“必要保障額”を再計算
保険の目的は、「万が一のときに家族が困らないようにすること」。
再婚後は、扶養家族の数・教育費・住宅ローンの有無などを基に再計算しましょう。
目安
- 生命保険:生活費×5〜10年分
- 学資保険:子どもの卒業時期をゴールに設定
- 医療保険:世帯貯蓄とのバランスで判断
保険見直しの相談先と注意点

FP相談を活用する
再婚家庭の保険見直しは、一般的なライフプランよりも複雑です。
中立的なファイナンシャルプランナー(FP)に相談すると、家計と保障の両面から整理できます。
相談時に準備すべき書類
- 現在の保険証券(写し)
- 家族構成・年収・貯蓄額
- 養子縁組・扶養の状況
オンラインFPサービスを利用すれば、自宅で比較相談も可能です。
まとめ:再婚後の保険は「信頼と安心の再設計」
再婚後の保険見直しは、単なる節約ではなく、新しい家族を守る信頼設計です。
特に、受取人・契約者・保障範囲の3点を明確にしておくことで、トラブルの多くは防げます。
今回のポイント
- 受取人を最新の家族構成に合わせる
- 学資保険は養子縁組の有無で扱いが変わる
- 二重契約を防ぎ、家族単位で保険を整理する
再婚家庭にとって「お金の備え」は、“安心して暮らすための仕組み”そのものです。
信頼の土台として、今のうちに一度しっかりと見直しておきましょう。


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