再婚家庭にとって「養子縁組をするか・しないか」は、家族関係だけでなく“お金の仕組み”にも大きな影響を与える重要な選択です。
見た目には同じ家族でも、法的な関係があるかどうかで「相続」「保険」「税金」「手当」の扱いがまったく異なります。
本記事では、ステップファミリーにとって気になる「養子縁組の有無で変わるお金のリアル」を整理し、判断のヒントをお伝えします。
養子縁組の有無で変わるお金の基本構造

養子縁組をすることで、子どもと継親の間に法的な親子関係が生まれます。
この「法的親子関係」が、次のようなお金の領域に影響します。
| 項目 | 養子縁組あり | 養子縁組なし |
|---|---|---|
| 相続 | 親子として法定相続人になる | 相続権なし |
| 税金(扶養控除) | 扶養親族として控除可能 | 原則対象外 |
| 児童手当 | 継父母が受給者になれる | 実親が受給者 |
| 学資保険・生命保険 | 受取人に指定可能 | 原則指定できない |
| 社会保険上の扶養 | 条件を満たせば可能 | 原則不可 |
これらの違いは、将来の金銭的安定に直結します。
特に「相続」と「保険」は後から修正が難しいため、早い段階で検討しておくことが大切です。
相続の違いとその備え方

養子縁組をしていれば、継親が亡くなったときに子どもは法定相続人として財産を受け取れます。
一方、養子縁組をしていない場合は、法律上は相続権がありません。
相続の基本的な順位は以下のとおりです。
- 子ども(実子・養子)
- 両親
- 兄弟姉妹
つまり、養子縁組をしないままだと、再婚相手の財産は配偶者とその実子にしか相続されないということになります。
これを補うには、生前贈与や遺言書を活用する方法があります。
税金・手当・扶養における差

養子縁組をしている場合、継親が子どもを「扶養親族」として所得税控除の対象にできます。
また、児童手当の受給者も再婚相手に変更可能です。
一方、養子縁組をしていない場合は、子どもの扶養は実親のみが対象です。
このため、共働き家庭では「誰がどの子どもを扶養するか」で控除額や児童手当の支給額が変わります。
ポイント
- 扶養控除を取る人を年収の多い方にすると節税効果が高い
- 扶養関係を社会保険でも確認する(税と保険で判定基準が違う)
保険の受取人設定にも注意
養子縁組をしていない子どもは、原則として生命保険の受取人に指定できません。
これは、保険契約上「法律上の親子関係」が必要なためです。
もし養子縁組をしていない場合、受取人を「配偶者」や「実親」にしておき、
万が一の際に教育費などを目的として遺言で子どもに残す形にしておくのが現実的です。
養子縁組をする前に考えておきたいこと

お金の面だけを見ると養子縁組のメリットは多いですが、
それ以上に大切なのは家族関係としての信頼と納得です。
養子縁組には以下のような心の準備も必要です。
- 子ども本人の理解と意思確認
- 実親(前の配偶者)との関係整理
- 将来的な相続時のトラブル防止策(遺言書の活用)
家庭によって正解は異なります。
お金の制度を理解したうえで、家族全員が納得できる形を目指すことが大切です。
まとめ:養子縁組の有無で変わるお金を“見える化”する
養子縁組をするかどうかは、感情だけでなく「お金」「制度」「未来」の3点から冷静に判断すべきテーマです。
チェックリスト:養子縁組を考える前に確認したいこと
- 相続や保険など“将来の備え”はどうなるか
- 税金や手当で損をしていないか
- 子どもや配偶者の気持ちは整理できているか
これらを家族で共有し、必要に応じてファイナンシャルプランナーや行政書士に相談すると安心です。
再婚家庭にとって「養子縁組」は家族のかたちを整える大切なステップ。
制度を正しく理解し、無理のない形で“心とお金のバランス”を取っていきましょう。


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